子どもの医療費無料化

現在、どの自治体でも乳幼児医療費助成制度というものがある
詳しく説明する必要はないだろうが、
少なくとも3歳未満の乳幼児は
同じ月に同一医療機関を何回受診しようが、
支払いは 350円以下である
時間外の受診も当然この対象となる
患者負担額を無料にしている自治体もあるし、
対象年齢を引き上げているところもある


この、「少子化対策」とされる乳幼児医療費助成制度は
選挙公約によく掲げられ、もてはやされている


しかし、医療者側からみると非常に大きな問題を孕んでいる
一つはコンビニ受診の助長である
ひと月に何回受診しようが自己負担額は変わらないので、
ちょっとしたことで受診する傾向がある
たいてい、「心配なので来ました」という言葉を添えて


二つめは、診察待ち時間の増大である
このことはコンビニ受診と関連するのだが、
気軽な受診が増えると、当然診察待ちの時間は長くなる
権利意識の強いこの国の保護者たちは
トリアージ」という考え方をまだ理解してくれない
本当に急を要する患者も順番待ちを強いられることが多い
急病センターでこの場面がよく生じる


三つ目は、医療者の疲弊である
特に急病センターで診察待ち患者のカルテが
たくさん並ぶと、診察医をはじめ、スタッフの負担は大きくなり
さらに重要な疾患を見逃す可能性も大きくなるだろう


このようなことが論じられる機会が非常に少ないことに
悲しみすら覚えてしまう
これは医療者のエゴではなく、
医療を受ける側に不利益をもたらすことなのだが・・・


東京都に続き、名古屋市でも恐ろしいことになってきているようだ
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20070705/CK2007070502029618.html
中日新聞の記事を引用する

【愛知】名古屋市の子ども医療費助成拡大 与党3会派、市長の決意評価
2007年7月5日
 名古屋市少子化対策として、来年一月から、さらに子どもの医療費助成が拡充されることになった。松原武久市長は四日、市議会与党会派の民主、自民、公明各市議団の団長から早期実施の申し入れがあったのを受けて、入院費無料を小学三年生から六年生まで引き上げ、保護者の所得制限も撤廃する意向を明らかにした。
 市は現在、小学三年生までの入院費と小学校就学前の乳幼児の通院費を対象に助成。一歳以上には所得制限を設けている。
 申し入れの後、記者会見した民主のおくむら文洋団長は「二月定例会で、私たちが示した意思を市長が真摯(しんし)に受け止めた結果。二〇〇八年度には小学六年生まで通院費も助成し、早い時期に中学三年生まで拡充してほしい」と強調した。
 自民の堀場章団長は「所得制限の撤廃は以前から要望していた。市税増収が子育て支援に使われることは望ましい」、公明のひざわ孝彦団長は「国の医療制度改革の方向性が出され、県の動向も見極めながら取り組むと市長は発言した。その決意はありがたい」と評価した。
 民主は二月定例会で、小学六年生の入院・通院まで無料にするための条例改正案などを議員提案する方針を表明。その後、議員提案は見送ったが、共産を除く会派が早期拡充を求める付帯決議をした。これを受け、市は〇七年度中にも段階的に拡充できるよう検討していた。
 市は、市議会九月定例会に関連の条例改正案と補正予算案を提出する見通し。可決後、来年一月実施に向けて準備に入る。必要な予算は翌月に繰り越されるため、拡充に伴い、補正予算案には二カ月分の約一億四千万円の追加が必要となる。
 (原一文)